消費者金融の借金が返せないとわかったら…やるべきことやNG行動・対処法をわかりやすく解説
基礎知識
更新日:2024.12.25
借金はお金を借りることなので、借りたお金を返す必要があります。返済をしないと督促の電話があるのではないか、自宅や職場に誰かが来るのではないかと不安になるかもしれませんが、そんなときこそ冷静に対応することが重要です。それでは、借金が返せないときはどうするべきなのでしょうか。また、借金を返さないまま放置しているとどうなってしまうのでしょうか。
今回は、借金が返せないときにどのようなことが起こるか、最悪の事態に陥る前にすべきこと、やってはいけないことをそれぞれ解説します。
目次
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借金が返せないとどんなことが起こる?
支払日を過ぎても借金が返せなかったとき、そのまま放置するとどうなるのか、一般的に起こることを順番に解説します。
遅延利息の発生
まず、返済が遅れると、支払日(返済期日)の翌日から遅延利息が発生します。遅延利息は借入(貸付)残高に対して、貸主が定めている所定の利率で計算されます。一般的には利率は通常の利息と違い、遅延利息の方が高い利率として設定されています。
電話で返済の催促
毎月の支払日までに入金がない、または指定口座から引落ができないと、支払日の翌日から数日のあいだに借入先から契約時に伝えた電話番号に電話がかかってきます。その前にメールやショートメッセージ(SMS)が届くこともありますが、いずれにしろ支払についての確認と催促の連絡でしょう。
電話に出ないなど連絡を無視して放置していると、自宅の固定電話や勤務先など連絡先として伝えてある他の電話番号に電話がかかってくることもあります。
督促状・催告書が送られてくる
電話などでの連絡がつかないと、次は借入先から督促状が送られてきます。督促状には、支払が遅れていることの確認、遅延利息が発生していることのお知らせ、支払を促す案内、金額と振込先となる口座番号などの情報が記載されています。
督促状を無視し、支払もしないままだと、今度は内容証明郵便などで催告書が送られる場合があります。内容は、滞納が続いていることの確認、金額と振込先、支払の催告などです。また、契約時の内容によっては、一括払いを請求されることになり、その旨が記載されていることもあります。
一括請求書が送られてくる
督促状や催告書が届いてもそれを無視し続けると、一括請求書が届くことがあります。毎月きちんと返済をしていれば問題はないのですが、返済が滞って連絡がつかないとなると、契約の内容によっては金融機関が借入額の全額を一括で請求する可能性が高く、そのための書類として一括請求書を送付します。
一括請求書も内容証明郵便で届くのが一般的です。内容証明郵便は書留郵便を送付した記録だけでなく内容についても証明されるため、「そんな文書は知らない」と言い訳をすることができません。
訴訟や差押え
督促状や催告書も無視した場合、最も多いのは、借入先が簡易裁判所に支払督促の申立てを行うケースです。申立てが受理されると、今度は裁判所から支払督促が届きます。
支払督促は簡易裁判所の書記官が、債務者に対して支払を命じる法的な手続です。支払督促を受領して2週間以内に対応しないと、支払に同意したことになります。
ほかには、借入先が民事訴訟を起こすケースもあります。その場合は訴状が送られてきて、裁判所に出廷しなければなりません。
仮に支払督促も裁判も無視したとすると、最終的に強制執行が行われ、財産を差押えられる可能性が高くなります。預貯金がなくても、給料、退職金、不動産、株式、自動車、生命保険などが差押えの対象となります。
借金が返せないときにすべきことは?
借金を返さなくてはならないとわかってはいても、さまざまな事情で返せなくなってしまう場合もあるでしょう。「借金が返せないかもしれない」と思ったときに、すべきことをご説明します。なかでも特に重要なのは、迅速な金融機関への相談です。
自分の借入残高の現状把握
借金が返せないかもしれないと考えたとき、まず必要なのが現状把握です。借金が返せない状況に陥っている場合、自分の借金の状況を正しく把握できていないことがよくあります。大前提として借金の借入残高をしっかりと認識していなければ、適切な対処はできません。
特に、借入先が複数ある場合は、それぞれの残高、合計残高、毎月の返済日と返済額、返済先などをノートに書き出すなどして、状況の整理をしましょう。それに対し、自分の収入と生活をしていく上で絶対に必要な固定費と返済に回せる金額も書き出します。
これらの情報を整理した上で具体的な返済計画を立てると、このまま返済していけるのか、最終的に完済できるのかといった全体像が見えてきます。
現状把握をした上で返済期日まで余裕がないという場合は、できるだけ早く借入先の金融機関に現状の連絡をしましょう。
正確な借入状況がわからないときは、信用情報機関に自分の情報の開示請求をすれば把握することができます。
信用情報を確認する方法については、こちらもご覧ください。
信用情報開示の方法とは?確認方法と開示報告書の見方を紹介
毎月の出費を一度見直す
借金を返せないという目の前の問題に対する直接的な対処ではありませんが、いまの生活に無駄な出費がないかを洗い出し、出費を見直すことで問題を解決できるかもしれません。
携帯料金や保険料といった固定費の見直し、格安サービスへの乗換などが有効です。また、ほとんど使っていないようなサブスクリプション料金がないかも一度見直してみることをおすすめします。
ただし、固定費の見直しについては効果が表れるのは翌月以降ということが多いと思います。返済期日まで余裕がないのであれば、先ほど述べたように借入先の金融機関へできるだけ早く現状の連絡をしましょう。
債権者への相談
借金を返せないかもしれないと思ったら、できるだけ早い段階で債権者(借入をしている金融機関)に相談しましょう。相談をすることで返済期日の延長や毎月の返済額を減額してもらえるといった対応の余地も生まれます。また、現状を包み隠さず正確に伝えることで、金融機関側からも解決策を提案しやすくなります。
あくまでも金融機関の判断次第ではありますが、できるだけ早く相談することで誠意が伝わりやすく、前向きな対応をしてもらえる可能性は高くなるでしょう。
ローンの借換、おまとめローンの検討
借金を返していく意思があって、返済の負担を軽減したい場合は、ローンの借換やおまとめローンを利用するのもおすすめです。
ローンの借換は、現在契約している借入先とは別の借入先と契約してお金を借り、そのお金で借金を完済し、今後は新たに借換をしたローンを返済していく方法です。つまり、借入先を乗換えるわけです。その際は、毎月の返済額と利息がどれくらい下がるか、しっかりとチェックする必要があります。
おまとめローンは、複数の金融機関からの借入がある人が、新たな借入先からお金を借りて借金を1つにまとめるものです。こちらも毎月の返済額と利息を減らすことが目的ですが、管理が楽になるというメリットもあります。
ただし、ローンの借換の際は改めて審査を受けることになります。貸金業者でローンの借換を行う場合、既に多額の借入があると「年収の3分の1を超える貸付をしてはならない」という貸金業法にもとづく「総量規制」が適用されます。そうなれば、新たな借入ができない可能性があります。また、他社に借入があるということで、審査の通過が難しくなることも考えられます。
おまとめローンの場合は総量規制の対象外となることもありますが、いずれにせよ、審査を受けなければなりません。
ローンの借換やおまとめローンを利用する場合は、借入先に現状を正直に話して、相談をするのがいいでしょう。月々の返済額や総返済額のシミュレーションをしてもらえるケースもあるため、そういった情報を加味して利用を検討しましょう。
ローンの借換、おまとめローンについて詳しくは、こちらもご覧ください。
カードローンの借換のメリットとデメリットとは?注意点や利用方法を解説
借入をまとめる「おまとめローン」とは?プロミスを例に仕組やメリット・利用時の注意点を解説
第三者への相談
次に検討できることは、信頼できる第三者への相談です。家族には話しにくいかもしれませんが、話を聞いてくれる親戚や友人がいるなら相談してみるといいでしょう。借金が返せない状況に陥っていると、悩みをひとりで抱え、どのような人でも気持ちが沈んでしまうものです。
両親や親類などに話すと、借金を肩代わりしてくれるケースもあります。その場合はしっかりと感謝しつつ、借用書を作って、毎月少しずつでも誠意を持ってお金を返しましょう。
また、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのも1つの方法です。借金問題に詳しい専門家などはインターネットなどで探せるほか、国民生活センターや市役所・区役所でも借金に関する相談を受付けています。無料相談窓口や電話相談窓口は多くあるので、利用しやすいと思ったところにコンタクトを取ってみることです。専門家に相談すれば、状況にマッチした解決方法やアドバイスがもらえます。
公的融資制度への相談
国や公的機関などが設けている生活再建のための融資制度を利用するのも1つの方法です。生活に困窮している人を救済する目的でさまざまな制度が設けられているので、最寄りの自治体の社会福祉協議会に相談してみてはいかがでしょうか。
債務整理の検討
どうしても借金を返せないという場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理は任意整理や個人再生、自己破産といった法的な制度の総称で、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談をすると、状況に応じて最適な債務整理の方法を提案してもらえるでしょう。
債務整理についての詳細は、この後説明します。
借金返済のコツとは?効率の良い返し方や注意点・完済できない場合どうなるか解説
借金が返せないときにしてはダメなこと
借金が返せない時についやってしまいがちな行動がありますが、根本的な解決とならないばかりか、自分に不利になってしまうこともあります。続いては、借金が返せないときのNG行動を3つご紹介します。
連絡や督促を無視する
借金が返せないときに最もしてはいけないのは、電話や督促状を無視して放置することです。無視を続けると訴訟や差押えにまで発展する可能性があることは既に解説しました。
加えて、支払日から61日以上、または3か月以上にわたって返済をしないと、信用情報機関の信用情報に「異動情報」として記録されます。すると今後、異動情報が消えるまでは新たな借入ができなくなってしまうおそれがあります。
反対に、たとえすぐに返せなくても、電話などで借入先に連絡すれば相談に応じてくれることもあります。返済期限を延長してもらったり、その月は利息だけの支払にしてもらったりすることができるかもしれません。まずは連絡をして、それから対処方法を考えましょう。
他社からの追加融資で借金を返す
目先の滞っている借入の返済のために、他社から新たに借入をする考え方は危険です。新しい借入も返済していくとなれば、次の月の返済はもっと苦しくなる可能性が高くなります。雪だるま式にどんどん借金が増えていくパターンに陥ってしまうかもしれません。
特に、貸してくれる業者がないからといって、いわゆる闇金など貸金業者登録をしていない金融機関から借りることは絶対に避けてください。
追加融資を受けるのなら、ローンの借換やおまとめローンの利用を検討しましょう。
クレジットカードのショッピング枠を現金化する
クレジットカードのショッピング枠とは、文字どおり買物や料金決済などのための利用枠です。これを「現金化する」という業者が存在しますが、こうしたサービスを利用するのもNGです。
なぜなら、ほとんどのクレジットカード会社はこうした「現金化」のサービス利用を利用規約で禁止しており、利用したことが発覚すると一括返済や強制解約の措置をとられるおそれがあります。
また、広告では多くの業者が限りなく100%に近いような確率で現金化をすると謳っていますが、実際に利用すると著しく低い換金率になってしまうようなトラブル事例も多く、やはり利用すべきではありません。
どうしても借金が返せないときの債務整理
最後に、ローンの借換やおまとめローンを利用したとしても、借金が返せないときの対処方法をご紹介します。以下の4つは借金問題を解決する、いわゆる債務整理の方法です。
任意整理
弁護士や司法書士が代理人となって、借金の貸主である債権者と交渉して返済方法を決めるのが、任意整理です。債権者が応じてくれることが前提ですが、交渉がまとまれば当初の契約より長期の分割払いや利息、遅延利息が軽減される可能性があります。裁判所を介さずに手続を進められるのがメリットです。
任意整理を行うと信用情報に異動情報が記載され、5年程度は新たな借入やローンなどが難しくなるでしょう。また、安定的に収入があることが前提となり、必ずしも債権者が任意整理に応じてくれるとは限りません。
特定調停
特定調停は、簡易裁判所に申立てを行うと、調停委員が債権者との間に立って返済方法の交渉をしてくれるというものです。申立書をはじめとする書類の作成・提出や簡易裁判所との連絡などは、すべて個人で行うことになります。
個人で行うため費用は安くなりますが、書類作成の手間や時間がかかるというデメリットがあります。また、債権者との交渉次第ですが、借金の減額はあまり見込めず、返済の分割回数を増やすといった結果になることが多いようです。
個人再生
個人再生は、裁判所に提出した再生計画が認可されると、借金を5分の1(最大10分の1)にまで減額でき、3~5年で返済していく方法です。ただし、安定的な収入がなければ再生計画が認められる可能性は低いでしょう。
個人再生の場合も、やはり信用情報に異動情報が記載され、5~10年は新たな借入やローンの利用が難しくなります。また、官報(国が法律に基づいて発行する機関紙)に住所氏名が掲載されることになります。
自己破産
自己破産は、まったく返済できる見込みがない場合、生活に必要な一定の財産以外の、住居や自動車といった財産を手放し、その代わりに借金を全額ゼロにする方法です。裁判所を介して手続を行い、支払が不可能と認められた場合に許可されます。
自己破産をした場合も信用情報に異動情報が記載され、5~10年程度は借入やローンの利用が困難になります。また、個人再生と同様に官報に住所氏名が掲載され、一定期間は一部職業に就くことができないというデメリットもあります。
今後失敗しないために!借金をする際の注意点
借金が返せないというピンチを何度も経験したくないという方に向けて、今後失敗しないための注意点を4つの項目で解説します。
余裕を持った返済計画を立てる
お金を借りる際に返済計画が必須であることは既に述べましたが、重要なのはその返済計画に無理がなく、現実味や具体性があることです。
楽観的なシナリオだけでなく、ある程度のリスクも織り込んだ返済計画にすることで「想定外の事態」に対応できるようになり、返済計画の狂いが生じても最小限に抑えられます。
返済計画を立ててからお金を借りるのが正しい順序なので、これまで返済計画を後回しにしていた方は、まず返済計画を立ててからお金を借りることを心がけましょう。
金利や無利息期間の確認
金融機関によって金利は異なりますし、一部の金融機関には無利息期間が設けられていることがあります。これらをしっかり理解することで最も負担の少ない借入ができるようになれば、返済に困る可能性も低くなるでしょう。
闇金などの違法業者から借入をしない
借金を返せなくて困っている人に付け込んで、法外な金利でお金を貸付ける闇金などの違法業者が存在します。金利の上限は法律で定められていますが、こうした違法業者はそれを守らずに高い利息を請求してくるため、ますますお金に困るのは明白です。
「審査なし」「誰でも今すぐ融資」といった広告を見かけたとしても、正規の金融機関以外からお金を借りることは絶対にやめましょう。
新たな借金を増やさない
お金に困っているとお金の扱いが雑になってしまい、無駄遣いをして新たな借金を増やしてしまうことがあります。また、返済のためにほかの金融機関から新たな借入を考えるかもしれません。しかしこれらの方法は、根本的な解決を遠ざけてしまいます。
できるだけ借金を少なくすることを心がけ、お金に余裕があるときは繰上返済をする、複数の借金がある場合は金利の高い借金から返済していくといったことを実践してみてください。
借金が返せない事態に陥らないように計画的な借入を
借金が返せない状態に陥ったとしても、どのように対処すべきか知識を持っていれば適切な対応ができるはずです。金融機関はローンの借換やおまとめローンなど問題の解決に役立つサービスをを用意しており、これを利用すれば数年で借金を完済することもできるかもしれません。どうしても難しい場合は、債務整理という手段も残されています。現実から目を背けたり落ち込んだりするだけではなく、前向きに現状を打開する方法を考えましょう。
これから借入を考えている方は、借金が返せない事態に陥らないよう自分の収入を踏まえ、しっかり計画を立てるようにしてください。
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【ライター情報】
田中 タスク
自身も投資家として資産運用を実践しつつ、そこで得られた知見を交えて投資系ライターとしてインターネットや書籍などの記事制作に取り組む。一方で消費者金融やカードローンなどに関する知識をいかして、「お金のピンチ」を乗り切る方法の発信にも注力、借入に対する正しい知識の重要性を発信中。