借金が返せないとわかったら…最悪の事態の前にできること

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借金が返せないとわかったら…最悪の事態の前にできること

何らかの借金をしていて、「今後も返していけるか不安」「返済日が迫ってきたのに手元にお金がない」などと悩んでいる人もいるかもしれません。こういった場合にとるべき適切な対処はあるのでしょうか。また、借金を返さないまま放置しているとどうなってしまうのでしょう。
今回は、借金が返せないときにどのようなことが起こるか、最悪の事態に陥る前にすべきこと、やってはいけないことをそれぞれご紹介します。

目次

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借金が返せないとどんなことが起こる?

支払日を過ぎても借金が返せなかったとき、そのまま放置するとどうなるのか、一般的に起こることを順番にご説明します。

1. 遅延損害金の発生

まず、返済が遅れると、支払日(返済期日)の翌日から遅延損害金が発生します。遅延損害金は請求金額に対して、貸主が定めている所定の利率で計算されます。一般的には利率は通常の利息と違い、遅延損害金のほうが高い利率として設定されています。

2. 電話で返済の催促

毎月の支払日までに入金がない、または指定口座から引き落としができないと、翌日から数日のあいだに借入先から契約時に伝えた電話番号に電話がかかってきます。その前にメールやショートメッセージ(SMS)が届くこともありますが、いずれにしろ支払についての確認と催促の連絡でしょう。

電話に出ないなど、連絡を無視して放置していると、自宅の固定電話や勤務先など、連絡先として伝えてあるほかの電話番号に電話がかかってくることもあります。

3. 督促状・催告書が送られてくる

電話などでの連絡がつかないと、次は借入先から督促状が送られてきます。督促状には、支払が遅れていることの確認、遅延損害金が発生していることのお知らせ、支払を促す案内、金額と振込先となる口座番号などの情報が記載されています。

督促状を無視し、支払もしないままだと、今度は内容証明郵便などで催告書が送られる場合があります。内容は、滞納が続いていることの確認、金額と振込先、支払の催告などです。また、契約時の内容によっては、一括払いを請求されることになり、その旨が記載されていることもあります。

4. 訴訟や差押え

督促状や催告書も無視した場合、最も多いのは、借入先が簡易裁判所に支払督促の申立てを行うケースです。申立てが受理されると、今度は裁判所から支払督促が届きます。
支払督促は簡易裁判所の書記官が、債務者に対して支払を命じる法的な手続きです。支払督促を受領して2週間以内に対応しないと、支払に同意したことになります。
ほかには、借入先が民事訴訟を起こすケースもあります。その場合は訴状が送られてきて、裁判所に出廷しなければなりません。

仮に支払督促も裁判も無視したとすると、最終的に強制執行が行われ、財産を差押えられる可能性が高くなります。預貯金がなくても、給料、退職金、不動産、株式、自動車、生命保険などが差押えの対象となります。

借金が返せないときにすべきことは?

借金が返せないときにすべきことは?

借金を返さなくてはならないとわかってはいても、さまざまな事情で返せなくなってしまう場合もあるでしょう。「借金が返せないかもしれない」と思ったときに、すべきことをご説明します。

自分の借入残高の現状把握

借金が返せないかもしれないと考えたとき、まず必要なのが現状把握です。借金が返せない状況に陥っている場合、自分の借金の状況を正しく把握できていないことがよくあります。大前提として借金の借入残高をしっかりと認識していなければ、適切な対処はできません。

特に、借入先が複数ある場合は、それぞれの残高、合計残高、毎月の返済日と返済額、返済先などをノートに書き出すなどして、情報整理しましょう。それに対し、自分の収入と生活をしていく上で絶対に必要な固定費と返済に回せる額も書き出します。
正確な借入状況がわからないときは、信用情報機関に自分の情報の開示請求をすれば把握することができます。この後、誰かに相談するときにもこれらは必須の情報です。

信用情報を確認する方法については、こちらもご覧ください。
信用情報開示の方法とは?確認方法と開示報告書の見方を紹介

第三者への相談

次にすべきは、信頼できる第三者への相談です。家族には話しにくいかもしれませんが、話を聞いてくれる親戚や友人がいるなら相談してみるべきでしょう。借金が返せない状況に陥っていると、悩みをひとりで抱え、どのような人でも気持ちが沈んでしまうものです。
両親や親類などに話すと、借金を肩代わりしてくれるケースもあります。その場合はしっかりと感謝しつつ、借用書を作って、毎月少しずつでも誠意を持ってお金を返していってください。

また、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのもいい方法です。借金問題に詳しい専門家などはインターネットなどで探せるほか、国民生活センターや市役所・区役所でも借金に関する相談を受付けています。無料相談窓口や電話相談窓口は多くあるので、利用しやすいと思ったところにコンタクトを取ってみることです。専門家に相談すれば、状況にマッチした解決法やアドバイスがもらえます。

ローンの組替、おまとめローンの検討

借金を返していく意思があって、返済の負担を軽減したい場合は、ローンの組替やおまとめローンを利用するのもおすすめです。

ローンの組替は、現在契約している借入先とは別の借入先と契約してお金を借り、そのお金で借金を完済して、今後は新たに組替したローンを返済していく方法です。つまり、借入先を乗換えるわけです。その際は、毎月の返済額と利息がどれくらい下がるか、しっかりとチェックする必要があります。
おまとめローンは、複数の業者からの借入がある人が、新たな借入先からお金を借りて借金をひとつにまとめるものです。こちらも、毎月の返済額と利息を減らすのが目的ですが、管理が楽になるというメリットもあります。

ただし、ローンの組替の際は審査を受けることになります。貸金業者でローンの組替を行う場合、すでに多額の借入があると、「年収の3分の1を超える貸付をしてはならない」という貸金業法にもとづく「総量規制」が適用されます。そうなれば、新たな借入ができない可能性があります。また、他社に借入があるということで、審査の通過が難しくなることも考えられます。
おまとめローンの場合は総量規制の対象外となることもありますが、いずれにせよ、審査を受けなければなりません。

ローンの組替やおまとめローンを利用する場合は、借入先に現状を正直に話して、相談したほうが賢明です。月々の返済額や総返済額のシミュレーションをしてもらえるケースもあるため、そういった情報を加味して利用を検討しましょう。

借金が返せないときにしてはダメなこと

借金が返せないときにしてはダメなこと

借金が返せないときに、ついやってしまいがちな行動がありますが、根本的解決とならないばかりか、自分に不利になってしまうこともあります。続いては、借金が返せないときのNG行動を2つご紹介します。

連絡や督促を無視する

借金が返せないときに最もしてはいけないのは、電話や督促状を無視して放置することです。無視を続けると訴訟や差押えにまで発展する可能性があることはすでに述べました。
加えて、支払日から61日以上、または3か月以上にわたって返済をしないと、信用情報機関の信用情報に「異動情報」として記録されます。すると今後、異動情報が消えるまでは新たな借入ができなくなってしまうおそれがあります。いわゆる、「ブラックリスト」に載る状況です。

反対に、たとえすぐに返せなくても、電話などで借入先に連絡すれば、相談に応じてくれることもあります。返済期限を延長してもらったり、その月は利息だけの支払にしてもらったりすることができるかもしれません。まずは連絡をして、それから対処法を考えましょう。

他社からの追加融資で借金を返す

目先の滞っている借入の返済のために、他社から新たに借入をする考え方は危険です。新しい借入も返済していくとなれば、次の月の返済はもっと苦しくなる可能性が高くなります。雪だるま式にどんどん借金が増えていくパターンに陥ってしまうかもしれません。
特に、貸してくれる業者がないからと、いわゆる闇金などの貸金業者登録をしていない金融機関から借りることは絶対に避けてください。
追加融資を受けるのなら、ローンの組替やおまとめローンの利用を検討しましょう。

どうしても借金が返せないときの債務整理

どうしても借金が返せないときの債務整理

最後に、ローンの組替やおまとめローンを利用したとしても、借金が返せないときの対処法をご紹介します。下記の4つは借金問題を解決する、いわゆる債務整理の方法です。

任意整理

弁護士や司法書士が代理人となって、借金の貸主である債権者と交渉して返済方法を決めるのが、任意整理です。債権者が応じてくれることが前提ですが、交渉がまとまれば当初の契約より長期の分割払いや利息、遅延損害金が軽減される可能性があります。裁判所を介さずに手続きを進められるのがメリットです。
任意整理を行うと信用情報に異動情報が記載され、5年程度は新たな借入やローンなどが難しくなるでしょう。また、安定的に収入があることが前提となり、必ずしも債権者が任意整理に応じてくれるとは限りません。

自己破産

自己破産は、まったく返済できる見込みがない場合、生活に必要な一定の財産以外の、住居や自動車といった財産を手放し、その代わりに借金を全額ゼロにする方法です。裁判所を介して手続きを行い、支払が不可能と認められた場合に許可されます。
自己破産をした場合、信用情報に異動情報が記載され、5~10年程度は借入やローンができません。また、官報に住所氏名が掲載され、一定期間は一部職業に就くことができないというデメリットもあります。

個人再生

個人再生は、裁判所に提出した再生計画が認可されると、借金を5分の1(最大10分の1)にまで減額でき、3~5年で返済していく方法です。安定的に収入がなければ、再生計画は認められないでしょう。
個人再生の場合も、やはり信用情報に異動情報が記載され、5~10年は新たな借入やローンの利用が難しくなります。また、官報に住所氏名が掲載されることになり、一定期間は一部職業に就くことができません。

特定調停

特定調停は、簡易裁判所に申立てを行うと、調停委員が債権者とのあいだに立って返済方法の交渉をしてくれるというものです。申立書をはじめとする書類の作成・提出や簡易裁判所との連絡などは、すべて個人で行うことになります。
個人で行うため費用は安くなりますが、書類作成の手間や時間がかかるというデメリットがあります。また、債権者との交渉次第ですが、借金の減額はあまり見込めず、返済の分割回数を増やすといった結果になることが多いようです。

借金が返せない事態に陥らないように計画的な借入を

借金が返せない状態に陥ったとしても、どのように対処すべきか知識を持っていれば適切な対応ができるはずです。金融機関ではローンの組替やおまとめローンなどの対応商品を用意しており、これを利用すれば数年で借金を完済することもできるかもしれません。どうしても難しい場合は、債務整理という手段も残されています。現実から目を背けたり落ち込んだりするだけではなく、前向きに現状を打開する方法を考えましょう。
これから借入を考えている人は、借金が返せない事態に陥らないよう自分の収入を踏まえ、しっかり計画を立てるようにしてください。

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