実質年率とは?金利や利息との違いと具体的な計算方法を解説!
基礎知識
更新日:2024.06.26
実質年率は金利や利息と似ている言葉ですが、意味についてわからない方もいるのではないでしょうか。さまざまなローン契約において、実質年率次第で利息や総返済額がどのくらい変わるか気になる方もいるでしょう。本記事では、実質年率の仕組や金利・利息との違い、住宅ローンやリボ払いでの計算方法をご紹介します。
目次
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実質年率とは
実質年率とは元金に利息や事務手数料などの諸費用も含めた実質の年率です。例えば、50万円を借りて1年で返済した際に5万円の利息と5,000円の諸費用を支払った場合の実質年率は11%となります。
実質年率を知ることで借入をした際に負担しなければならない支払額を正確に確認できるようになります。
実質年率の仕組
実質年率と似た言葉に金利や利息がありますが、それぞれ意味が異なるので注意しましょう。
ここからは実質年率の仕組について解説します。
実質年率と金利の違い
金利とは、元金に対する利息の割合を%で表したものです。たいていの金融機関では、お金を借りる際の貸付条件として年15.0%と言うように記載しています。
また、30万円を借りて1年後に4万円の利息をつけて返済した場合の金利を計算すると、以下のとおりとなります。
利息÷元金×100=金利
4万円÷30万円×100=13.3%
一方で、実質年率には、金利だけでなく利息や手数料といった諸費用も含まれているので注意しましょう。
例えば、30万円を借りて1年後に4万円の利息のほかに1万円の手数料の支払を求められた場合の実質年率を計算してみます。
(利息+手数料)÷借入金額×100=金利
(4万円+1万円)÷30万円×100=16.6%
実質年率には、金利だけではなく手数料の支払も含まれている分、負担が大きくなります。
実質年率と利息の違い
利息とは借入に対して支払われる対価のことを指します。利息がいくらになるかは金利に応じて変わるので注意が必要です。同じ期間で返済する場合、金利が高くなるほど支払わなければならない利息は多くなります。
利息の計算方法は、元金×金利÷365×期間で計算可能です。金利と諸費用を合計した実質年率とは、意味が異なります。
実質年率とアドオン率の違い
アドオン率とは、借入金を分割で返済する場合に借入残高を一定にして利息を計算する方法です。
通常、毎月返済をすると利息の支払額は変動しますが、アドオン率の場合は利息の支払額が変わらないので、毎月の返済額や総返済額の計算がしやすくなります。
ただし、アドオン率では借入期間が1年未満の場合でも1年分の利息を支払わなければならないため、返済負担が大きくなる点に注意が必要です。
アドオン率は、クレジットカードで購入した商品を分割払いで支払う際に適用されることがあります。
一方、実質年率の場合は、元金の返済を毎月行うことで、支払う利息は次第に減少していくのが特徴です。そのため、アドオン率よりも返済負担は軽減されます。
利息が同じである場合、アドオン率は実質年率よりも低く表示できますが、実際には返済負担が大きくなります。割賦販売法では、アドオン金利での表示が禁止されているので、実質年率での表示が義務づけられているのです。
実質年率の計算方法・シミュレーションをご紹介!
ここからは、ケース別に実質年率を使った計算方法およびシミュレーションをご紹介します。ローン契約を締結する予定がある人は、参考にしてみてください。
マイカーローンの場合
ここからは、マイカーローンの場合の実質年率を活用した計算方法を紹介します。
マイカーローンで実質年率をもとに利息、総返済額、毎月の返済額を求めるためには以下の計算式を使いましょう。
利息:借入額×実質年率×返済年数÷12
総返済額:借入額+利息
毎月の返済額:(借入額+利息)÷支払回数
したがって、マイカーローンの借入額が200万円、頭金やボーナス払いなし、返済期間が60回払い、実質年率が2%の場合に、それぞれ計算すると以下の結果になります。
毎月の返済額 | 35,055円 |
---|---|
総返済額 | 210万3,300円 |
利息 | 10万3,300円 |
※上表は試算例
住宅ローンの場合
住宅ローンの返済方法には元利均等返済と元金均等返済の2つの方法があります。借入金額4,000万円、返済期間35年(ボーナス払いなし)、金利が1.8%の条件で住宅ローンを組んだ際に元利均等返済と元金均等返済の毎月の返済額と総返済額を計算した結果は以下のとおりです。
毎月の返済額を計算するためには、金利を月利にしなければなりません。実質年率1.8%を12で割ると、月利は0.15%となります。
そして、元利均等返済の毎月の計算額は、以下のように計算します。
借入金額×月利×(1+月利)返済回数÷(1+月利)返済回数-1
4,000万円×0.0015×(1+0.0015)420÷(1+0.0015)420-1=12万8,437円
総返済額については、毎月の返済額×返済回数で求めることができるので、以下のようになります。
12万8,437×420=5,394万3,540円
元利均等返済 | 元金均等返済 | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 12万8,437円 | 15万5,238円 |
総返済額 | 5,394万3,540円 | 5,263万円 |
利息 | 1,394万3,540円 | 1,263万円 |
次に元金均等返済の場合ですが、返済するタイミングで返済額が変わるため、まず1回目の返済額を計算しましょう。
4,000万円÷420回+4,000万円×0.0015=95238+6万円=15万5,238円
※小数点第一位を四捨五入
次に返済総額は、以下のように計算可能です。
4,000万円+4,000万円×0.0015×(420回+1)×0.5=4,000万円+1,263万円=5,263万円
元金均等返済のほうが、100万円以上返済負担が軽くなります。
リボ払いの場合
クレジットカードのリボ払いで支払う利息は、利用残高×金利(実質年率)÷365(日)×利用日数で計算できます。
利用残高が30万円、実質年率が15%、月々の返済額が2万円の場合で考えてみましょう。
1か月の利息と1か月返済した際に減る元金を計算すると以下のようになります。
30万円×15%÷365日×30日=3,698円
2万円-3,699円=16,301円
なお、毎月の返済額が2万円と3万円では総返済額や利息に1万円以上の差がつきます。
毎月の返済額 | 返済回数 | 総返済額 | 利息 |
---|---|---|---|
2万円 | 17回 | 33万4,311円 | 3万4,311円 |
3万円 | 11回 | 32万2,503円 | 2万2,503円 |
※元利定額方式の場合
※上表は試算例
分割払いの場合
ここからは、クレジットカードで商品を購入した費用を分割払いする場合の支払総額と手数料を計算します。
例えば、10万円の商品を5回払いで支払った場合の支払総額と手数料(分割手数料は100円あたり3.4円とする)は以下のとおりです。
毎月の返済額 | 支払総額 | 利息 |
---|---|---|
2万円 | 10万3,400円 | 3,400円 |
分割手数料は、支払総額×(手数料÷100円)で計算可能です。
10万円×(3.4円÷100円)=3,400円
したがって支払総額は10万3,400円です。
実質年率を活用する際の注意点
実質年率を活用する際にはいくつか注意点があります。借入前に確認しておきましょう。
返済計画を立てておく
実質年率を活用する際には返済計画を立てましょう。返済計画を立てる際は、借入したい金額と収入のバランスが悪くないか、毎月の返済額と総返済額、返済が終了する時期を確認します。
ご自身で計算が難しい場合は、金融機関のWebサイトにあるご返済シミュレーションを用いることでこれらの情報を確認可能です。
返済計画を立てることで、毎月いくらの返済なら現実的に可能か、返済期間を短縮することでいくら利息を減らせるかわかるようになります。
借入を行う前に返済計画を立てるようにしましょう。
プロミスをご利用の場合は、以下のページからシミュレーションが可能です。
固定金利と変動金利の違いを理解する
住宅ローンなどで借入をする場合、固定金利、変動金利のどちらを選ぶかで総返済額が大きく変わることがあります。
固定金利は借りる時に決めた金利がずっと続く金利です。変動金利は金利水準の変化にあわせて一定期間ごとに借入金利の見直しが行われる金利です。
2024年の日本は低金利のため、固定金利よりも変動金利のほうが低い状況が続いています。実際三井住友銀行の住宅ローン金利を見ると、変動金利のほうが約1.2%ほど低い金利でお金を借りられる可能性があります。
変動金利型 | 年0.475%〜 |
---|---|
固定金利特約型(10年) | 年1.70%〜 |
長期間固定金利型(20年超〜35年以内) | 年2.58%〜 |
※Web申込専用住宅ローンの金利の場合
しかし、景気や金利の変動次第では、変動金利が固定金利よりも高くなることもあるでしょう。その場合、変動金利のほうが支払う利息が増えやすくなります。
固定金利と変動金利の違いについて理解した上で、借入時にどちらを選択するか慎重に検討しましょう。
返済までの期間を確認する
借入をする際は返済までの期間を確認しましょう。なぜなら、返済までの期間を確認することで、返済計画を立てやすくなるからです。
また、同じ実質年率で借入した場合でも、返済期間が長くなるほど支払う利息が多くなります。
例えば50万円を年17.8%の金利で借入した場合に、毎月15,000円を返済する場合と30,000円を返済する場合とでは、支払う利息に10万円以上の差があります。
毎月の返済額 | 返済回数 | 総返済額 | 支払う利息 |
---|---|---|---|
15,000円 | 47回 | 69万4,862円 | 19万4,862円 |
30,000円 | 20回 | 57万8,635円 | 7万8,635円 |
支払う利息を抑えたい場合は、返済期間を短くしたり、余裕がある時に多めに返済をしたりしましょう。
金融商品を比較する
お金を借りる際には、複数の金融商品を比較しましょう。各金融商品によって実質年率が異なるため、金利が高い金融商品を選ぶと、支払う利息が増えてしまいます。
なるべく低金利で借入が可能な金融商品を選んで、返済負担を軽減することをおすすめします。
利用目的を考慮する
お金を借りる場合には、利用目的を考慮しましょう。
マイホームを購入するなら住宅ローン、車を購入するならマイカーローンを利用したほうが、ほかの借入方法よりも実質年率を抑えられる可能性があります。
また、趣味や生活費の支払などが目的でお金を借りる際は、使用用途に制限がないカードローンやフリーローンを選んだほうがいいでしょう。
各金融機関ごとに実質年率が異なるため、必ず複数の選択肢を比較して選ぶようにしましょう。
実質年率についてよくあるご質問
この章では、実質年率についてよくあるご質問について回答します。
実質年率の目安はどれくらいですか?
多くのローン商品では、実質年率の相場は3%〜18%です。借入目的や年収などによって適用される実質年率が異なりますが、住宅ローンなど一部の商品を除くと、概ねこの範囲内に収まります。
実質年率が高いとどうなりますか?
実質年率が高い場合、支払う利息が増えて、返済期間も長期化しやすくなるので、総返済額が多くなります。
したがって、借入をする際は、なるべく実質年率が低い金融機関を利用しましょう。
実質年率の計算式を教えてください
実質年率の計算方法は、(利息+諸費用)÷借入金額×100で求めることができます。ローンの契約時に保証料や手数料がかかる場合、実質年率が高くなります。
金利や利息を理解して計画的に借入をしよう
お金を借りる前に、金利や利息について理解しておきましょう。金利が低い方法で借入をすれば、支払う利息を減らしやすくなります。また、実質年率を活用して借入金額と収入のバランス、返済期間、支払う利息について計算しておけば、計画的な借入が可能です。返済期間や支払う利息を計算する場合は、各金融機関のWebサイトからシミュレーションをご利用ください。
【ライター情報】
小栗 健吾
自身のFXや仮想通貨への投資経験を基に、金融メディアを中心に投資系記事を執筆している。投資系記事以外の執筆にも力を入れており、ファイナンシャルプランナー2級の資格を取得。自身の消費者金融やクレジットカードの利用経験や知識を活かしつつ、お金に悩んでいる方に向けたローン系の記事も多く執筆している。