家賃滞納したらどうなる?支払えない場合のリスクと対処法
不安解消
更新日:2022.12.15
賃貸住宅に住んでいれば、毎月管理会社や大家さんに家賃を支払います。しかし、家賃は生活費の大半を占める大きな出費ですし、何らかの理由で家賃を払えず、滞納してしまうことがあるかもしれません。また、故意ではなくても口座残高が足りず、家賃が引落せない可能性もあります。そういった場合、どうしたらいいのでしょうか。
ここでは、家賃を滞納してしまいそうなときにすべきことと、どうしてもお支払いが困難な場合の対処法をご紹介します。
目次
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家賃の引落ができなかった場合はどうなる?
家賃の決済方法はさまざまですが、個人で賃貸住宅に住んでいる場合、口座の自動引落が一般的です。お金が足りずに家賃滞納してしまうこともありますが、うっかり口座にお金を入れるのを忘れていたということもあるでしょう。
引落ができなかったことに気づいたら、まずは管理会社や大家さんに連絡します。引落ができなかったことの謝罪と、支払方法の確認をしてください。引落ができなかった場合の家賃の支払方法は、下記の3つのどれかになることが多いです。
<家賃の引落ができなかった場合の支払方法>
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・指定口座に振込
管理会社や大家さんが指定する口座に、直接家賃を振込みます。振込手数料は入居者の負担になります。
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・引落日までに口座に家賃を入れておく
日にちを指定して再度の引落が行われるので、その日までに引落口座に家賃を入れておきます。
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・送られてきた払込票で支払う
払込票が郵送されてくるので、コンビニや金融機関で支払います。
どの方法になるかは管理会社や大家さんによって異なり、場合によっては直接持ってくるよういわれる場合もあります。連絡の上、必ず支払方法を確認してください。
遅延損害金の発生
故意でなくても家賃を滞納すると、「遅延損害金」が発生する可能性があります。遅延損害金は滞納によって生じた損害を賠償するお金で、遅延利息、延滞利息などと呼ばれることもありますが、性質は利息とは違い、あくまで損害賠償金です。
遅延損害金の上限は、消費者契約法で14.6%と決められており、これを超える部分は無効です。賃貸契約の際に14.6%以内の割合で決めることができますが(約定利率)、賃貸契約書に記載がない場合は、法定利率といって、年3%で計算されます。
ただし、年3%とは、2020年4月1日施行の改正民法で定められたものです。2020年3月31日までに締結された賃貸契約の場合は、改正前民法が適用されるため、法定利率は年5%です。
家賃を払えなかったらどうなる?
家賃を払えなかった場合、退去させられるのではないかと不安になる方もいるでしょう。期日までに家賃を支払えなくても、すぐに強制退去となることはありませんが、滞納期間が長引くと、確かにそのリスクがあります。ここでは、家賃が払えず、滞納を続けた場合に何が起こるのかご紹介します。
なお、必ずしもこのとおりに進むわけではなく、期間はおおよその目安と考えてください。
1. 電話かメールで連絡が来る(支払日の翌日~1週間以内)
家賃の支払日に引落ができないと、銀行から管理会社や大家さんへ、引落ができなかった口座のリストが送られます。リストが送られるまでに1~3日程度あり、到着次第、管理会社や大家さんから電話やメールで連絡があるでしょう。
2. 督促状が届く(支払期日の1週間~1か月後)
電話やメールでの連絡に応答せず、なおかつ支払いもしないまま時間がすぎると、今度は督促状が届きます。督促状には、家賃が支払われていないことの通知と支払いの催促、期日、滞納した家賃の振込先などが記載されています。
督促状は、はがきや手紙で送られてきますが、これも無視していると、内容証明を使った督促状が届くことがあります。内容証明は、発送日や受取日、郵便の内容を郵便局が証明するサービスです。内容証明は、支払いの期日を指定していた証明となり、滞納が続いた場合、法的手続きを進めるために利用される場合があります。
3. 保証人や保証会社に連絡が行く(支払日から1~2か月後)
入居者からの支払いがないまま1~2か月が過ぎると、保証人に連絡が入ります。借主に代わって家賃の支払いをするか、借主に家賃の支払いを促すように依頼をするものです。
保証会社を利用している借主の場合は、保証会社に連絡が入ります。その場合は、保証会社が家賃を立て替えますが、その後は保証会社から家賃の支払請求があります。
4. 契約解除通知書が届く(支払期日から2~3か月後)
電話やメール、督促状などで支払いの催促があってもなお滞納を続け、2~3か月が過ぎると、契約解除通知書が届きます。保証会社が家賃を立て替えた場合も同様です。
契約解除通知書には滞納している家賃の支払いと、賃貸契約を解除すること、指定の期日までの退去を求める内容が記載されています。
5. 明渡訴訟・強制執行
契約解除通知を送っても入居者が支払いや明け渡しに応じない場合、管理会社や大家さんは裁判所に「建物明渡請求訴訟」を起こす可能性が高いです。訴訟を起こされた場合は訴状の確認や答弁書の作成などが必要になり、弁護士や司法書士などに頼らず対処できる方は多くないでしょう。相談や依頼の費用が発生する可能性があります。
訴訟で明け渡しの判決が出ると、借主は退去を命じられ、命令に応じない場合は強制執行の申立てによって、強制執行手続きがとられます。なお、強制執行された場合でも、滞納分の家賃の支払義務は消えません。
家賃支払いが困難な場合はどうする?
家賃を滞納するのは良くないとわかっていても、どうしても手元にお金がなく、支払いができないときもあります。そのような場合に対処する方法をご紹介します。
管理会社や大家さんに相談する
今月の家賃を滞納してしまいそうとわかったら、まずは管理会社や大家さんに連絡してください。家賃の支払いが間に合わない理由と、いつなら可能なのかを伝えて相談すれば、期日を延ばしたり、分割払いに対応してくれたりする可能性があります。
ただし、期日の延期や分割は当然のことではなく、応じてくれた場合はあくまでも管理会社や大家さんの好意です。延期してもらった期日には、必ず支払うようにしましょう。
住居確保給付金を利用する
何らかの理由で収入が減少し、家賃を払えず滞納してしまいそうな場合は、公的融資制度が利用できる可能性があります。
住居確保給付金は、「主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合」に受給可能な給付金です。市区町村ごとに定める額を上限に、実際の家賃額が原則3か月間(延長は2回まで、最大9か月間)支給されます。返済の必要はありません。
保証人に相談する・親族に借りる
家賃滞納してしまうかもしれないとわかったら、保証人に相談してみる方法があります。保証人は親や兄弟、親戚になってもらうことが多く、連絡はしづらいかもしれませんが、滞納するよりはいいでしょう。
親や兄弟、親戚からお金を借りる場合は、無利子で柔軟な返済期間を設定できるメリットがあります。しかし、金銭の貸し借りはトラブルのもとにもなりますから、お金が足りない理由を正直に話し、いつまでに返済できるのかを伝えた上で、お願いすることをおすすめします。
カードローンを利用する
一時的にお金が足りない場合は、カードローンを利用するのもひとつの方法です。消費者金融系のカードローンであれば、お申込当日に融資が完了する「即日融資」が可能な場合があります。融資を受けるには審査を通過する必要がありますが、急いでいるときに頼れるでしょう。
さらに、一部の消費者金融は、初回契約から一定期間内は利子がかからない「無利息期間」を設けている場合もあり、返済の負担を軽減させられるかもしれません。
無利息期間についてはこちらの記事もご覧ください。
カードローンの無利息期間をお得に活用するには?選び方と注意点について
お金を借りるにはどうすればいい?今すぐ必要な時にすべきこと
家賃滞納は信用情報に影響する?
信用情報とは、カードローンやクレジットカードの申込や契約、返済といった、個人のこれまでの客観的な取引の事実が記録されているものです。第三者機関である信用情報機関で取り扱われており、カードローンやクレジットカードの契約の審査は、信用情報を照会した上で判断されます。長期間の返済遅延などがあれば、今後の契約の審査に影響する可能性があります。
家賃を滞納しても、基本的には信用情報に記録が残ることはありません。賃貸物件の契約をする際も審査が行われますが、カードローンやクレジットカードの審査とはまったく別のものです。ただし、賃貸物件の契約時に、「家賃保証プラン」などを利用している場合は注意が必要。家賃保証プランを提供しているのが信販会社系の保証会社である場合、契約の前に信用情報機関への照会が行われることがありますし、家賃を滞納した場合は信用情報に記録が残る可能性が高いです。
また、契約しているのが信販会社系の保証会社でなくても、賃貸保証会社で構成される全国賃貸保証協会(LICC)という団体に家賃滞納の記録が残る可能性は高いでしょう。カードローンやクレジットカードの契約とは関係ありませんが、新しい賃貸契約がしにくくなる可能性はあります。
信用情報についてはこちらの記事もご覧ください。
信用情報開示の方法とは?確認方法と開示報告書の見方を紹介
家賃は滞納する前に対処する方法を考えよう
何らかの理由で家賃を支払うお金が足りなくなったり、うっかり口座残高が不足して引落ができなかったりする可能性は誰にでもあります。家賃を滞納してしまった、または滞納してしまいそうと気づいたら、すみやかな対処が必要です。
家賃を滞納してもすぐに退去させられることはありませんが、まずは管理会社や大家さんに連絡し、自分のとれる対応を考えましょう。