総量規制とは?年収の3分の1を超える借入と規制対象について

基礎知識

総量規制とは?年収の3分の1を超える借入と規制対象について

貸金業者から借入をする場合、知っておきたいこととして「総量規制」が挙げられます。総量規制は貸金業法で定められたルールで、個人が貸金業者から借入できるお金の上限を規制するものです。

当記事では、総量規制とはどのようなルールで、何のために存在するのか、借入や審査にどのような影響があるのかなどを解説します。

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総量規制は借入の上限が年収の3分の1になる法的規制

総量規制とは、個人に対して年収の3分の1を超える貸付を原則禁止するルールで、貸金業法の13条の2に明記されています。例えば、年収が300万円の人であれば、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者から借りられる合計額は最大100万円となり、それを超える借入はできません。なお、クレジットカードのショッピング枠での借入は総量規制の対象外です

借り過ぎを防止して利用者を保護することが総量規制の主目的ですが、総量規制があることで借入や審査にどのような影響があるのか、貸金業者は年収の3分の1をどう判断しているのか、などについて解説します。

総量規制が定められた背景

総量規制は、貸金業者による過剰な貸付を規制し、多重債務者の発生を防ぐために2006年に施行された改正貸金業法で導入されました。

5社以上から借入を行っている多重債務者は、2006年の時点では約230万人に上っていましたが、施行後の2011年には約70万人にまで減っています。自己破産者も、2006年は18万人を超えていましたが、2011年には約8万人にまで減少しました。

総量規制に違反した貸付を行った貸金業者は貸金業法違反となり、行政指導や営業停止などの行政処分を受けることになります。なお、総量規制はあくまでも貸金業者を規制するもので、利用者を規制するものではありません。

貸金業者とは

先ほどから登場している「貸金業者」とは、お金を貸す業務を行っており、財務局または都道府県に登録している業者のことです。具体的には、消費者金融やクレジットカード会社などが当てはまります。銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関も融資を行っていますが、貸金業法が定義する「貸金業者」には含まれません。

複数の業者から借入がある場合の総量規制

貸金業者に該当する複数の業者から借入がある場合は、借入金額の総額に総量規制が適用されます。
例えば、年収が300万円の人の場合、貸金業者から借入ができる上限金額は最大で100万円ですが、すでに他社から50万円の借入がある場合、新たに借入できる金額は最大で50万円です。

貸金業者が年収の3分の1を超えないか判断する方法

貸金業者は融資の申込を受けると、信用情報機関に信用情報を照会することで他社も含む申込者の借入残高を把握し、総量規制の上限を超える貸付でないかを審査します。
信用情報とは、カードローンやクレジットカードといった、個人の信用をもとにした取引の情報です。契約内容や返済状況、借入総額など、個人のこれまでの客観的な取引の事実が記録されており、信用情報を見ることで貸金業者は申込者の借入総額を知ることができます。こうした信用情報は、貸金業者が加盟する信用情報機関に記録されているため、他社の借入であっても情報が共有される仕組になっています。
年収については、借入の希望額が50万円を超える場合、あるいは借入の希望額と既存の借入総額の合計が100万円を超える場合、申込者から源泉徴収票や給与明細書といった収入証明書類を提出してもらうことで確認しています。

規制枠内で満額借入できるわけではない

総量規制はあくまでも貸金業者が融資できる法的な上限金額です。法律では年収の3分の1まで融資できるといっても、すべてのケースで総量規制の満額まで借入ができるわけではありません。借入可能額は申込者の返済能力を総合的に審査した上で決まるため、総量規制の範囲内であっても希望する金額を借入できるとは限らない点に注意してください。

どのような借入が総量規制の対象になるのか

どのような借入が総量規制の対象になるのか

総量規制の対象になる借入と、そうでない借入があります。例えばカードローンとして提供されているサービスであっても、そのサービスを提供している金融機関によって法的な扱いは異なります。
ここでは、総量規制の対象になる借入と、そうでない借入の違いについて押さえておきたいと思います。

総量規制の対象

総量規制の対象になる借入は、主に以下の3つです。

<貸金業者からの借入>

消費者金融など貸金業者に該当する会社からの借入は総量規制の対象になります。大手、中小に関わらず、法律では消費者金融からの借入合計金額が年収の3分の1を超えていないことが求められます。

<クレジットカードのキャッシング>

クレジットカードのなかには、キャッシング枠といってATMなどを使ってお金を借りられるサービスが付帯しているものがあります。このキャッシング枠は総量規制の対象になるため、消費者金融などの借入残高と合算されて総量規制の枠内に収まっている必要があります。

クレジットカードのキャッシング枠についてはこちらをご覧ください。
クレジットカードのクレジットカードのキャッシング枠とは?利用するメリットや注意点を徹底解説

<個人事業主の借入>

個人事業主に対する事業性資金の融資も、原則として総量規制の対象になります。ただし、事業性資金の場合はこれまでの事業実績や事業計画などから返済能力があると判断できれば、例外的に総量規制の枠を超えて融資をすることができるという規定(総量規制の例外貸付)があります。

総量規制の対象外

上記の総量規制対象となる借入に対して、以下の2つは総量規制の対象外です。

<法人での借入>

総量規制は個人向けの融資に対する規制であるため、法人向けの融資は対象に含まれません。法人はさまざまな事業環境に応じて会計処理をしているため、同じ基準で「過剰な融資である」と判断することは難しい部分があります。それを一律に判断するのは不公平につながると考えられているのが、総量規制の対象外になっている理由です。

<銀行カードローン>

銀行カードローンは個人向けに提供されている銀行の融資サービスで、総量規制の対象外です。理由は、貸金業法が定義している貸金業者に銀行が含まれていないからです。ですが「総量規制の影響を受けそうなのであれば銀行に融資を申込するのが得策」であるかというと、そうともいえません。なぜなら、法的な規制がなくても貸金業法の趣旨を踏まえた自主規制をするべきとの考え方が業界全体で共有されているため、貸金業者と同等の審査基準である可能性が高いからです。

もう一点注意したいのが、「銀行カードローン」と「銀行系カードローン」の違いです。銀行カードローンは銀行自身が提供しているカードローンで、銀行系カードローンは銀行のグループ会社が提供しているものです。プロミスがSMBCグループであるように、大手消費者金融のなかにはメガバンク系列の会社もあり、これらは銀行系カードローンに含まれます。

銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、銀行系カードローンは貸金業者に該当するため総量規制の対象です。

貸金業者からの貸付で総量規制の対象外は2種類

貸金業者からの貸付で総量規制の対象外は2種類

貸金業者が行う貸付ではあるものの、総量規制の対象にならない借入も存在します。対象外となる貸付は、大きく分けて「除外貸付」と「例外貸付」の2つです。詳しく見ていきましょう。

総量規制の対象外となる「除外貸付」

頻繁に利用せず、高額で返済が長期にわたるような貸付は「除外貸付」に分類され、総量規制が適用されない場合があります。

例えば、住宅ローンやマイカーローンなどは高額なため、年収の3分の1を超えるものが多いでしょう。また、高額な医療費などは、後から限度額を超えた分が戻ってくる「高額医療費制度」を利用したとしても、一度は窓口で立替えて払う必要があります。こういった場合に年収の3分の1を超える借入ができないとなると、支払ができない人が出てきてしまいます。

除外貸付は総量規制の基準に関係なく借入が可能で、借入額が貸金業者からの借入残高に含まれないため、他の借入に影響を与えません。
具体的に除外貸付には、以下のようなものがあります。

<除外貸付の例>

  • ・不動産の建設・購入、または不動産の改良・リフォームに必要な資金の貸付(住宅ローン)
  • ・自動車購入時の自動車担保貸付(マイカーローン)
  • ・高額療養費の貸付
  • ・有価証券を担保とする貸付
  • ・不動産を担保とする貸付(ただし、自宅を担保とする場合を除く)
  • ・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付
  • ・手形(融通手形を除く)の割引
  • ・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付
  • ・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介

ただし、除外貸付であっても借入の際に審査は行われ、貸金業者が返済能力以上の借入と判断した場合は、融資ができない可能性があります。また、借入残高に算入されないとしても、多額の借入があることに変わりはありませんから、新たに貸金業者から借入をしようとするときに、審査に影響する可能性はあるでしょう。

総量規制の対象外となる「例外貸付」

総量規制は過剰な貸付から利用者を守るためのルールであるため、利用者に不利益がない貸付や、利用者の利益になる貸付は「例外貸付」とされます。条件はありますが、「おまとめローン」などがそれにあたります。例外貸付の場合も除外貸付と同様に、総量規制の基準に関わらず借入が可能です。

具体的に例外貸付には、以下のようなものがあります。

<例外貸付の例>

  • ・個人顧客に一方的に有利となるローンの借換
  • ・個人顧客の借入残高を段階的に低減させるためのローンの借換
  • ・緊急の医療費の貸付
  • ・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付(10万円以下、3か月以内の返済などが要件になる)
  • ・配偶者と合わせた年収に対して3分の1以下の貸付(配偶者の同意が必要)
  • ・個人事業者に対する貸付
  • ・新規事業に必要な資金の貸付
  • ・預金取扱金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に関わる貸付

なお、例外貸付であれば無条件で借入できるわけではなく、ほかの借入と同じく貸金業者が返済能力の有無を確認し、「返済能力あり」と判断できることが条件です。

総量規制についてよくあるご質問

総量規制についてよくあるご質問とその答えをまとめました。

1社あたりの借入が年収の3分の1を超えなければ問題ないですか

他社借入がなく1社だけなのであれば、問題はありません。
他社借入がある場合は、信用情報機関に記録されている情報を含めて審査が行われるため、貸金業者に該当する金融機関からの借入残高と借入申込額の合計が年収の3分の1を超えていないかどうかが審査されます。

借入総額が年収の3分の1を超えるまでは借入できますか

総量規制はあくまでも法的な上限であり、金融機関の審査基準とイコールではありません。総量規制の範囲内であっても金融機関の審査により年収の3分の1までの満額は借入ができない場合もあります。

銀行からの借入も総量規制の対象になる?

銀行は貸金業法が定義する貸金業者には含まれないため、総量規制の対象外です。そのため年収の3分の1を超えて借入できる可能性はありますが、本文中でも述べているように銀行業界も貸金業法の趣旨に沿った融資をするとの考え方が共有されているため、「銀行だから審査に通る」というわけではありません。

また、貸金業者からの借入であっても事業性資金については総量規制の対象外となり、借入できる可能性があります。

総量規制を理解して計画的に借入をしよう

総量規制は、貸金業者の過剰な貸付を抑制し、多重債務者を生まないために盛り込まれた規制です。貸金業者が融資の可否を判断する上で重要な一要素ですが、総量規制の範囲内であれば必ず満額の融資が受けられるわけではありません。
融資の可否や借入限度額は、申込者の属性や年収、返済能力などを貸金業者が総合的に判断した上で決まります。
利用者保護を目的とした総量規制があるからといって、計画的に利用することが重要であることは変わりません。計画的な借入のために、事前のシミュレーションをしておくことも有効です。

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【ライター情報】
田中 タスク
自身も投資家として資産運用を実践しつつ、そこで得られた知見を交えて投資系ライターとしてネットや書籍などの記事制作に取り組む。その一方で消費者金融やカードローンなどに関する知識をいかして、「お金のピンチ」を乗り切る方法の発信にも注力、借入に対する正しい知識の重要性を発信中。

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