大学に行きたいけど学費が払えない…対処法はある?

不安解消

大学に行きたいけど学費が払えない…対処法はある?

大学に行きたい、学業を続けたいと思っているのに、学費が払えない場合、どうしたらいいのでしょうか。
文部科学省の2014年の発表によると、1年間に中退する大学生は約8万人。そのうちの2割にあたる約1.6万人が、経済的な理由でした。さらに、1年間に授業料を滞納する大学生は、全体の0.4%にあたる約1.1万人です。学費が理由で進学をあきらめざるをえなかったり、退学しなくてはならない不安を感じていたりする人は少なくないようです。
ここでは、学費が払えなくなったときに知っておきたい対処法について解説します。

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大学の学費はどれだけかかる?

「住宅資金」「教育資金」「老後資金」は、人生の三大資金といわれます。教育にはお金がかかるとわかっていても、いざ自分や子供が大学に入ることになると、その額に驚くかもしれません。
特に初年度は、1年分の授業料と施設設備費に加え、入学金がかかります。教科書代や進学に伴って一人暮らしをする場合は、引越し代や新生活のための生活用品の購入費用も必要です。お金がいくらあっても足りない気持ちになっても仕方のないところでしょう。

大学の初年度納付金(入学金、授業料、施設設備費、実験実習費、諸会費などの合計)は、国立大学の場合、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって81万7,800万円(授業料53万5,800円、入学金28万2,000円、いずれも昼間部)と標準額が定められています。ただし、標準額は大学の裁量で120%まで値上げが可能とされ、近年は値上げ傾向にあります。

公立大学は、国立大学の標準額に準じている場合が多いですが、入学者の居住地が指定地域内だと入学金を割安に、指定地域外だと割高に設定する大学が多いようです。文部科学省が2019年に発表した「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度納付総金の平均は約134万円です。この額は学部によって変わり、理系や医学系の場合はさらに高額になります。
このほかに教科書代や教材費、通学のための交通費も必要です。また、理系・文系を問わず、リモート授業やレポート作成のためパソコンも必須といっていいでしょう。

大学の学費が払えなくなったらどうなる?

大学の学費が払えなくなったらどうなる?

入学のための費用は捻出できても、その後経済状況が変わり、卒業まで学費を払い続けるのが難しくなることがあるかもしれません。万が一、入学後に学費が払えなくなったらどうなるのでしょうか。

督促状が届き、退学や除籍になる可能性がある

大学の学費を滞納した場合、大学によって違いはありますが、まずは「授業料納入のお願い」といった通知状が届きます。通知状の内容は、学費が未納であることの通知、納入の催促です。
通知状が届いても学費を払わないと、督促状が届きます。督促状の内容は、このまま学費を納めなければ「退学処分」や「除籍処分」になる可能性を示唆するものです。督促状が届いても、すぐに退学や除籍になるわけではありませんが、放置していればその可能性は高くなります。

退学と除籍の違い

退学(自主退学)であれば、「大学中途退学(中退)」と履歴書に書くことができ、大学に「退学証明書」を発行してもらうこともできます。大学によっては、その後授業料を支払えば復学できるケースもあるようです。
しかし、除籍の場合は正式な退学手続きをしていません。高校卒業と同じ扱いになるといえばそうなのですが、除籍について書かなければ履歴に空白期間ができることになり、面接時に説明を求められる可能性があります。
「大学除籍」と書くのは印象が悪いので、「一身上の都合により中途退学」といった書き方をしても問題ないとする意見もあります。ただし、除籍の場合は退学証明書、在学証明書、成績証明書などを発行してもらえないことがほとんどで、復学も難しいでしょう。

いずれにせよ、退学処分や除籍処分を受けると、就職時の選択肢が狭まる可能性があります。募集要項に「大卒以上」と記載があれば、その時点でその企業の選考を受けられません。すでに内定をもらっていたとしても、退学や除籍になったことを黙っていたことで、内定取消しになることもあります。

大学の学費が払えない場合の対処法

大学の学費が払えない場合の対処法

学費の滞納で退学処分や除籍処分になれば、将来の選択肢が狭まるかもしれません。何より、意欲のある学生が、学ぶ場を失ってしまうのは残念なこと。そこで、ぜひ知っておきたいのが、大学の学費が払えなくなったときの対処法です。ここでは、6つの方法について見ていきましょう。

大学に分納・延納・減額の相談をする

学費が払えないとわかったときにまずすべきことは、大学への相談です。学生課や会計課に行って延納や分納、減額の措置が受けられないかを相談してください。それぞれの違いは次のとおりです。

  • ・分納

    分納は、期日を決めて学費を分割して支払う方法です。分割できる回数は大学によって異なります。

  • ・延納

    延納は、延納受付期間内に申請書を提出して、支払期日を延期してもらう方法です。延期できる期間は大学によって1か月~半年程度の幅があり、延納金が発生するケースもあります。

  • ・減額

    学費が支払えない事情を考慮して、減額してもらえる場合もあります。申請後は大学による審査があり、その結果によって措置が受けられるかどうかが決まります。条件次第で全額免除となる場合もあります。
    減額は2020年4月からスタートした「高等教育の修学支援新制度」の授業料減免制度を利用するケースと、大学が独自に設けている制度が利用できるケースがあります。ただし、授業料減免制度の対象となるには、収入や資産、学力などの要件に合致していなければなりません。

分納、延納、減額のいずれも、大学によって制度の有無や実施状況が異なります。詳しくは大学に問い合わせてみてください。

奨学金制度を利用する

奨学金制度を利用して学費を払う方法もあります。奨学金は成績や収入などを評価対象として給付が決められ、学費や生活費の支払いなどにあてられるものです。学生本人が申し込み、返済の必要がある場合は学生本人が行います。

代表的な独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、無利子で借りられる第一種と、有利子で借りる第二種があります。また、前述した高等教育の修学支援新制度のひとつとして、給付奨学金の制度も2020年から始まりました。
ほかにも、多くの団体が奨学金制度を設けていますから、条件を確認した上で申請してみてください。大学が独自に奨学金制度を用意している場合もあります。

教育ローン(教育一般貸付)を利用する

学費を借りたい場合は、教育ローンを利用する方法もあります。奨学金との違いは、奨学金は学生が申し込むものであることに対し、教育ローンは保護者が申し込んで保護者が返済する点です。
日本政策金融公庫の「教育一般貸付」は、世帯年収が一定以下であることなど条件がありますが、低金利での借入れが可能です。インターネットでも申込みができ、日本学生支援機構の奨学金とも併用できます。民間の金融機関でも教育ローンを提供しており、世帯年収が高くても利用できる可能性があります。

学生支援緊急給付金を利用する

2020年4月に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた学生を救済する措置として、文部科学省で「学生支援緊急給付金」が創設・実施されました。給付額は、住民税非課税世帯の学生の場合は20万円、それ以外の学生は10万円です。
家庭から自立してアルバイト収入で学費をまかなっていることや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で収入が大幅に減少していることなどが給付の要件となります。

一時的に休学する

大学によっては、休学を申請すると休学期間中の授業料が免除されます。一時的に休学し、学生自身がお金を貯めてから復学するという方法を選ぶことも可能です。国立大学の場合は基本的に授業料免除となり、私立大学では免除とはならないケース、一部免除となるケースなどさまざまです。
休学をすると、その分卒業の時期が遅れますし、奨学金制度を利用している学生は、奨学金の貸与を休止する必要があります。それでも問題ないと考えるなら、休学中の学費に関する規定を確認して、休学してみてもいいでしょう。

カードローンで一時的に学費を補填する

学費を急いで支払う必要があるのに資金が不足している場合は、カードローンを利用してお金を借り、一時的に学費を補填するという方法も有効です。カードローンは利用目的が自由なため、学費の支払いにも使えます。消費者金融の場合は、早ければ申し込んだその日に即日融資が実行され、借りたお金は分割で返していくことが可能です。一定期間内は金利がかからない「無利息期間」を設けている消費者金融を利用すれば、返済の負担を減らすこともできるでしょう。
返済の計画が立てられることが前提ですが、すでに督促状が来ているなどして期日が迫っている場合には、カードローンが役立つかもしれません。

学費が払えなくなってもあきらめないで

学費が払えない状況になっても、さまざまな対処法や選択肢があります。せっかく合格した大学を退学や除籍になってしまうのはもったいないですし、学ぶ意思は大切にしてほしいもの。
まずは大学がどのような対応をしてくれるか情報を確認し、できることから手をつけてみることをおすすめします。

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