歯医者の治療費が払えない!分割払いやローンは利用できる?

不安解消

歯医者の治療費が払えない!分割払いやローンは利用できる?

むし歯をしっかり治療したいのに、治療費のことを考えて歯医者に行くのをためらっている人もいるのではないでしょうか。あるいは、歯列矯正やインプラントなど、保険診療外の治療を受けたいけれど、高額で資金が足りないのであきらめている人もいるかもしれません。
むし歯の治療は悪化するほど高額になりますし、放置することでほかの全身疾患につながるおそれもあります。また、納得のいく治療を受けたいと考えた場合、保険診療外の治療が適している場合もあるでしょう。ここでは、歯医者の治療費が払えないときに考えられる選択肢について紹介します。

目次

もっと見る

20代以上の3割が未治療のむし歯を抱えている

厚生労働省が2016年に実施した「歯科疾患実態調査」によると、20歳以上の約9割がむし歯になった経験があり、さらに20歳以上の約3割が未処置のむし歯を抱えています。

また、むし歯の治療法は進行度によって異なり、通常、進行しているほど長期にわたる治療が必要で、治療費も多くかかります。初期段階であればむし歯になった部分を削って詰め物をするといった簡単な治療で済みますが、中度以上に進行すると神経を取り、内部から補強して被せ物(クラウン)をするといった治療が必要です。

費用については大まかな目安ですが、進行具合によって1歯につき以下の治療費が必要となります(保険診療内で3割負担の場合)。

<1歯あたりの治療費の目安>

  • ・初期:1,500~3,000円
  • ・中度:2,000~1万円
  • ・重度:7,000~2万円

中~重度だと治療期間も数か月にわたる場合もあります。そのため、むし歯はなるべく早期に治療してしまうのが理想でしょう。日頃からセルフケアを行い、定期的に歯医者で検診を受けるのがおすすめです。

歯医者によって治療費が異なるのはなぜ?

歯医者によって治療費が異なるのはなぜ?

歯医者を選ぶときは歯科医の評判などと同時に、治療費も気になるものです。歯医者によって、治療費が高くなったり安くなったりするという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
続いては、歯医者の治療費が一定でない理由を解説します。

歯科治療には保険診療と自由診療がある

そもそも歯科治療には、保険診療と自由診療(保険外診療)があります。保険診療は国民皆保険制度により健康保険加入者が同じ内容の診療を同じ費用で受けられるもので、患者はかかった費用の1~3割のみを支払います。
ただし、保険診療は国が認めた診療のみに適用されます。それ以外の診療、例えばインプラントや矯正治療、銀歯ではないセラミックのクラウン、予防治療などは基本的に自由診療で、費用は全額患者負担です。

歯科治療の混合診療

保険診療と自由診療のほかに、保険診療と自由診療を組み合わせた「混合診療」というものがあります。混合診療は、日本の健康保険制度では原則として禁止されています。しかし、歯科治療に関しては、歯を削った後や抜歯した後の処置に限り、患者が希望すれば保険診療から自由診療に移行できます。例えば、むし歯の治療を保険診療で受けた後、「被せる材料をどうしますか?」と聞かれて、銀歯ではなくセラミックや金歯を選ぶと混合診療になるのです。

歯医者によって治療費が異なるのは、保険診療と自由診療、混合診療という選択肢があるためです。セラミックのクラウンは通常の歯と見た目がほとんど変わらず、金属アレルギーの心配がありませんが、費用は1歯につき8万~10万円程度かかるのが一般的です。健康保険が利用できる銀歯なら、奥歯の場合で2,000~3,000円といったところです。

歯医者の治療費が払えない場合の対処法

歯医者の治療費が払えない場合の対処法

まず、歯医者の治療費、特に保険診療の費用は、原則として診療を受けた当日に支払います。持ち合わせがなかったとしても、多くの場合は銀行に行くなどして、その日のうちに支払ってほしいと告げられるでしょう。歯科医の判断で減額した場合、不正請求とみなされるおそれがあるため、基本的にまけてもらうことはできません。
では、診療後にお金が払えない場合はどうすればいいのか、いくつか選択肢を挙げてみます。

歯科医に相談する

例えば、急に歯が痛くなって初診で駆け込んで応急の治療を受け、持ち合わせがなかったときなどは、次回診療時に支払うよう融通してもらえることがあります。あるいは、高額な治療費が必要となったときに「給料日やボーナス支給日まで待ってもらえないか」などと相談すると、対応してくれるケースもあるようです。
ただし、これらはいずれも歯科医の好意による判断です。現金で支払う治療費の後払いや分割払いは、基本的にできないものと考えておきましょう。

クレジットカードを利用する

最近は、クレジットカード決済を導入している歯医者が増えています。現金で支払うのは無理でも、クレジットカードでなら支払える人もいるでしょう。その場合は、インターネットなどでカード払いが可能な歯医者を探してから来院すると安心です。クレジットカードと歯医者が分割払いに対応していれば、一括払いではなく、何回かに分けて支払うことも可能です。

ローンを利用する

ローンを利用して歯医者の治療費を払う選択肢もあります。デンタルローンは、金融機関が提供する歯科治療専用ローンで、利用できれば治療費を複数回に分けて支払っていくことが可能です。
カードローンは銀行や消費者金融といった金融機関が提供する融資サービスです。担保なし・保証人なしで借入が可能で、目的も自由なので、歯医者の治療費に利用することができます。

医療費控除を受ける

医療費控除は、確定申告をすると一定の金額の所得控除を受けられる制度です。納税者が自分および生計を共にする家族のために、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額が10万円を超えた場合、支払った所得税から一部が控除されて還付金として戻ってきます。上限は200万円です。

医療控除は「一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なもの」、および「容貌を美化するための費用」は対象外とされています。そのため、歯科治療の場合、保険診療については問題ありませんが、自由診療の場合は対象外となる治療があります。例えば、同じ歯列矯正でも、子供など歯列矯正の必要性が高いと認められる場合の費用は対象ですが、容貌を美化するための歯列矯正だと、基本的には認められません。インプラントは基本的に対象です。

ただし、医療控除は治療時に利用できるわけではなく、あくまで後から一部が戻ってくることで税金の負担を抑えられるものです。一度は歯医者の窓口で治療費を支払う必要があり、還付を受けるためには確定申告も必要なのでご注意ください。

デンタルローンとカードローンの違いとは?

デンタルローンとカードローンの違いとは?

歯医者の治療費は、むし歯が進行すればするほど高額になる傾向があります。歯医者の治療費を支払う方法のひとつとしてローンがありますが、歯科治療専用のデンタルローンとカードローンには、それぞれメリットとデメリットがあります。歯医者の治療費として利用する場合、どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

デンタルローン

デンタルローンは、銀行や信販会社が提供している、歯科治療に特化したローン商品です。治療に必要な金額のみを借入れて、月々分割で返済します。
インプラントや歯列矯正、審美歯科など、高額になりがちな自由診療の歯科治療に利用する人が多く、歯科治療であれば使い道はあまり限定されない場合が多いようです。ただし、基本的に1回限りのローンのため、追加で融資が必要になった場合は再度申込をして、審査を受けなければなりません。
なお、銀行のデンタルローンと信販会社のデンタルローンでは、やや特徴が異なります。

  • ・銀行のデンタルローン

    銀行のデンタルローンは、自動車ローンやリフォームローンなどと同じ、目的別ローンの一種です。申込をしたら審査を受け、通過すれば本人確認書類や所得証明書類、資金使途および必要な金額を確認できる書類(治療費の見積書など)を提出して契約します。その後、融資が実行されると利用者が指定した銀行口座に入金されるのが一般的な流れです。
    金利が低めなのが銀行のデンタルローンのメリットですが、審査は厳しい傾向があり、結果が出るまで2週間程度かかることがあります。

  • ・信販会社のデンタルローン

    信販会社のデンタルローンは、歯医者が信販会社と提携している場合に利用できるものが主流です。その場合、信販会社が歯医者に治療費を立替払いし、その後、利用者が分割で返済していくのが基本的な仕組みです。つまり、利用者(患者)と、デンタルローンに対応している歯医者、信販会社の3者間による契約となります(銀行のデンタルローンも、一部同じスタイルの場合があります)。
    利用する際は、歯医者にデンタルローンを利用したい意向を告げ、治療費の見積書を受取り、利用者が Webサイトなどから信販会社にデンタルローンの申込をして審査を受けます。融資は指定口座に振込まれるのではなく、信販会社から歯医者に治療費として融資金額が支払われ、利用者は月々信販会社に返済します。
    信販会社のデンタルローンは、銀行のデンタルローンよりは金利がやや高いことが多いですが、審査期間は短い傾向があります。

カードローン

カードローンの利用目的は自由なので、歯医者の治療費にも問題なく利用できます。一度申込をして契約すれば、契約時に設定された利用限度額の範囲内で、必要な額を必要なときに借りられるのも便利です。治療のためのお金が不足していて、少しだけ借りたいときなどにも対応できます。

申込はパソコンやスマートフォンを使って、Webサイトから行うのが一般的です。ほかに、会社によっては電話や郵送、店舗などでも申込めます。カードローンの場合も審査を受ける必要がありますが、融資までのスピードは早く、即日融資されることもあります。
デメリットは、金利がデンタルローンよりも高めなこと。普段は保険内で治療を受け、高額な治療を受けるときだけカードローンを利用するといった方法も有効かもしれません。

歯医者の高額な治療費を支払う方法はある

むし歯の治療は、進行すればするほど高額になる傾向があります。また、より良い治療を受けたいと思ったら、自由診療を検討せざるをえないことがあるかもしれません。歯医者の治療費が払えない、納得のいく治療を受けるためのお金が足りないというときは、デンタルローンやカードローンの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
いくら必要なのか、無理なく返済ができるかといったことをよく考えて、自分に最も合う方法を考えてみてください。

前の投稿総量規制の対象外の借入とは?上限に達しても借りられるか解説

入院費が払えない!利用できる制度と対策をまとめて紹介次の投稿